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研究?産学官連携

ポスト分権改革時代の都市

成果の概要

本重点研究は、①我が国における1990年代後半以降の一連の地方分権改革が都市にもたらした影響を、信頼するに値するデータに基づいて実証的かつ学際的に分析したうえで、②これからの時代における都市の新たな姿を描き出し、③その成果を広く世に問うことによって、大阪市立大学における都市研究の水準を示すことを目的として実施された。2年間の研究成果としては、共同研究として実施した我が国の都市の現状に関する統計的分析の成果を踏まえて、参加者のそれぞれが、都市政治、都市行政、都市財政、都市経済、都市居住、都市文化等に関する学術論文を執筆し、学術雑誌等に公表するとともに、平成27年3月に研究成果論文集『ポスト分権改革時代の都市』を刊行した。また、参加者各自が、本重点研究の研究成果を踏まえて、それをさらに深化させ、発展させるべく、科学研究費補助金等を申請し、そのうちのいくつかが採択されている。それに加えて、本重点研究は、本学において「都市」に関わる研究に取り組んでいる専門分野を異にする研究者が、専門分野を超えて議論し、学際的研究の可能性を模索する重要な機会となった。

第三者評価

評価1

『縮小都市、分権改革下の新しい公共のあり方に関する教材?教育プログラム開発』は、三大都市圏での地図に落としたものを含む簡便な資料となっており、極めて有用である。また、共同研究の成果論文集である『ポスト分権改革時代の都市』は、大阪市立大学の総合大学としての学際性の強みが遺憾なく発揮されており、阿部論文?安田論文?水内=熊谷論文?櫻田論文など、触発される論文が多々掲載されていた。ただ、惜しむらくは、一部に「使い回し」的な論文があったこと、公刊する出版社が見つからなかったこと、である。多面的な存在である都市、なかんづく、大都市?大阪市の研究は、総合的でなければならないが、そこに一貫した文脈を見つけることは容易ではない。また、このことが、出版社の商業的要請を満たせず、公刊ができなかった理由かもしれない。しかし、本研究は、大阪市に関する総合的な研究が進められ得ることを、大いに期待させるものであり、高く評価することができる。

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評価2

 本研究は、10名の構成員が2年間にわたって実施したもので、総研究費は1千万円であった。「研究成果報告書」に見える研究業績は9名による16件である。成果物資料も踏まえて検討すると、アウトカムとしてはリーゾナブルである。一方で、構成員チーム全体としての統合的成果やシュリンキング?シティズの時代の課題への取組みという点では課題を残しているように思えた。しかし、成果の出版が市販性に乏しいという主張はその通りであり、だからこそ、当該種別での研究費による研究の意義があったものと評価できる。